サマルカンド・ブルーを見たい |④始まりは本物の雪山と、アナ雪
移動中の飛行機の中で、たまたま観たのが「アナと雪の女王」。
韓国からウズベキスタンに向かう機内から。ひたすらシルクロードの乾いた大地が続く。
今回の旅行の第一目的は、「海外に1人で行くこと」。
一生絶対に私には無理だと思っていたことを、クリアするための旅行でした。
2013年の年末に色々あって、「もうちょっと、がんばってみたい」と思ったのがきっかけ。
だから、特にリラックスしたいとか、どうしても成し遂げたいことがある、というつもりはなく、飛行機に乗り込みました。ただただ、「海外に行って、帰ってこれたら、私は私をほめることができる!」そんなつもりでした。
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韓国までは日本人だらけだった飛行機も、トランジット後は韓国人やウズベク人ばかり。知らない言語を話す人々の空間に1人。まさに、ここが私の‘海外旅行’のスタート。
当然、飛行機に乗っていれば、必ずウズベキスタンに到着します。さらにウズベクの空港には、私の名前を書いた紙を持つドライバーが待っていて、ホテルまで連れて行ってくれる予定。だから今日1日は無事に過ごせるはず。
そういう安全な状況にいながらも、1人になるとどうしても考えてしまう。
「なんでこんなところに1人でいるのか?」
「海外に1人で行くのが怖いのに、わざわざこんなことをする必要があったのか?」
挑戦しているくせに、まだウズベキスタンにも到着していないのに、やはり『怖くて一生無理』と思っていた海外一人旅行はハードルが高く、一気に孤独感に襲われてしまいました。
とはいえ、飛行機の中で過ごす時間は長い。映画を見ることにしました。
今回は韓国航空だったため、機内で楽しめる映画に、吹替え版の「アナと雪の女王」が。特に見たかった訳ではないけど、話題作が無料で見れるなら、見ないわけにはいきません。
まったくどんな話なのかも知らずに見たアナ雪。なんだかんだ言って幸福感にあふれた幸せなアナに比べて、不幸な環境とネガティブ思考な‘雪の女王’・エルサ。普段から素直ではないタイプの私は、エルサの行動がなんとなくわかる気がする…と思いながら観ていました。
そしてやってきた「Let It Go」。歌詞を聞いて、涙が出そうになりました。
風が心にささやくの
このままじゃ ダメなんだと
それももう やめよう
ありのままの 姿見せるのよ
ありのままの 自分になるの
どこまでやれるか 自分を試したいの
そうよ変わるのよ わたし
もう決めたの
(こうやって書いたら、すっごくポエム…)
でも、その時の私にはすごく強いメッセージにしか聞こえなかった。
「海外に1人」が出来れば、何か変われる気がしたんです。
実は去年色々あって、自分が周りにたくさんの優しさをもらっていたのに、それに応えられていなかったことが、ずっと気になっていました。
でも一方で、割と自分はがんばっていたり、周りに対して必要以上に優しくしてしまっているんじゃないのか、という矛盾に満ちた悩みを持っていました。
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この歌を私が聞いていた場所はそう、中国大陸の真上。写真を見たらわかるように、乾燥しきった山と雪が、ただただ永遠に広がる大地の上。そこには頼れる人も、話しかけられる人もいない。外を見るたび、恐怖を感じていました。
でも、エルサと少し似た状況でこの歌を聞いて、「あぁ、自分のしてきたことは、多分悪かったし、良かったんだ」と思った。
でも、こんな矛盾した気持ちを抱えている以上、今の私の考えや行動は、変えなければならないものであり、変えてもいいんだ、とも思った。
こうやって旅行の中で1人の時間を過ごすということは、自分と対話する時間を長く、長く持つということ。
自分の中で自分で考え、他人に頼らず自分で感じることで、気づくことがある。
恐らくこの映画を日本の映画館の中で見ても、ここまで感動しなかったと思うんです。1人飛行機の中にいて、明日どうなるかわからない恐怖と、でもここにいることで少し自由になったという高揚感を感じていたからこそ、この歌詞に強く強く惹かれました。
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この曲を歌いながらエルサは、とてもとても美しい氷の城を創りあげていきます。その様子はさながら魔法。(実際魔法なんだけど)
エルサの様に美しすぎるお城を創ることはできなくても、私にも何かできるのか?そのために、この旅行は私に意味をもたらしてくれるのか?
こうやって、「私は少し私を変えたかったんだ」という気づきと「でもどこに進んだらいいの?」という疑問を発見し、私の旅行は始まりました。