サマルカンド・ブルーを見たい|⑤目的の違うひととの間で
前のブログから1年経ち、もう覚えていないことだらけ。
でもそういえば、私の大好きな「深夜特急」も旅が終わってから何年も経ってから書かれたんだ。だからやっぱり、続きを書いてみる。
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空港に着く。
タシケント国際空港。
夜は遅い。
あぁ、異国の地に着いたなどうしようと感慨深く思ってみようとするけど、疲れてそんなことを考える余裕もない。なんとなく空気が土っぽい。これはどこかで感じたことがある。5年前、大学の友人、教授とアフリカに行ったとき、トランジットで降り立ったドバイの空気だ。
それでもウズベクに着いた感動はほどほどに。
私はとにかく入国審査を終えてしまいたい。やっぱり韓国からの8時間の空の旅で疲れていた。周りの集団に身を任せ進んでいくと、ちゃちな出国ゲートが現れる。ゲートの前には長い待ち列……。
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周りの大人たちは、みんな似ている顔立ちだった。覚えているのは韓国人のお兄ちゃんたち、そして日本人ツアーのおじさま、おばさま方。
50代ぐらいのベテラン男性添乗員さんがテキパキと並び方を指示する。待ってる間、日本のそこらへんのイオンで話すように、みんながリラックスしておしゃべりしてる。みんな一仕事終えて、ゆっくり旅行を楽しむ世代。
これから待ちうける、聞いたことのないウズベク語とロシア語の世界に飛び込む私の緊張心がするすると小さくなっていく。
あぁ、このおじさんおばさんたちは幸せなんだろうなぁーと。
一世一代の大旅行というわけでもなく、とはいえお金持ちで余裕があるわけでもなく、たまーに贅沢してこんなことして遊んでいるようだ。
ウズベキスタンってなかなか知られていない国だけど、まぁこんなご老人がゆるゆる遊べる国だって言うなら、まぁなんとか私にも攻略出来るかもしれない。
ちょっとシラケた気分でただ入国審査の様子を見つめながら、耳は日本語を追いかける。勝手にシラケるなんて、どんな大冒険を期待していたの、私は。自分の気の持ちようが、ちょっと恥ずかしいものだってわかっているけど、でも冒険してみたかったのは本当だもの。シラケちゃう。
そのかたわらで、これから数日間、1人で生き抜けるはずだけど生き抜けないかもしれない、そんな緊張感は消えてはくれず、胸のすみっこの方で小さくなって丸くなってました。